七月 19, 2023

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イメージセンサは、機械やロボットが工場内および倉庫内の物体を認識するうえで、常に重要な役割を担ってきました。「見る」ものを利用して動作環境を学習できることは、イメージセンサ性能の基準レベルを高くすることです。すべてのアプリケーションに適した単独のセンサソリューションは存在しないことを認識することが重要です。したがって、異なるイメージセンサの組み合わせが必要になる場合があります。このブログでは、汎用性の高い自律走行ロボット(AMR)や固定ロボットの設計に必要な各種イメージセンサの重要な性能指標について説明します。

 

ナビゲーションおよび衝突回避のためのグローバルシャッターセンサ

携帯電話のセンサは、画像検出に「ローリングシャッター」を使用します。この画像検出には、ピクセルの行を画像ソースからの光に順次露光させて行います。しかし、この方法では、センサで各ピクセル行の露光間にわずかな遅れが生じ、検出された画像に「アーティファクト」(視覚的異常)が発生します。この影響は、工場のフロアを横断するAMRが経験する角運動と振動によって増幅されます。オンセミ(onsemi)は、全ピクセルを同時に露光することで得られる画像にアーティファクトが発生する確率を低減する「グローバルシャッター」を備えた最高クラスのイメージセンサを開発しました。これにより、AMRのナビゲーションが容易になり、他の物体と衝突する可能性が低くなります。グローバルシャッターイメージセンサにとって重要な指標には以下のものがあります。

 

・グローバルシャッター効率(GSE)は、寄生光の混入に対するピクセルの感度を定量化します。GSEが高いセンサは、スミア、リーク画像、シェーディングアーティファクトのある画像を生成する可能性が低くなります。

・モジュラー転送周波数(MFT)は、画像の鮮明さを判断するのに不可欠です。これは、バーコードを読み取る必要があるロボットや機械では重要です。また、エッジを検出する能力は、AIを使用して環境を学習する機械にとって不可欠な要件であり、高いMFTを備えたイメージセンサがこれを可能にします。

 

混在照明環境向けのハイダイナミックレンジ(HDR)

ハイダイナミックレンジ(100dBから120dB以上の範囲)を持つセンサは、工場や屋外環境で起こりうるような対照的な照明条件下で、より詳細な画像を生成します。HDRは多重露光を使用し、長時間露光(低照度)、中時間露光(中照度)、短時間露光(高照度)を再結合することで提供できます。しかし、高解像度センサを使用すると、このアプローチによりフレームレートが大幅に増加し、AMRシステムオンチップ(SoC)に転送される大量のデータが生成され、消費電力を増加させ、画像データがノイズによって汚染される可能性があります。オンセミは、異なる方法を使用して、埋め込み画像の再結合(eHDR)を実行してSoCへのデータ帯域幅を削減するAR0822 8MPセンサを提供しています。また、この方法では、SoCから画像処理の負担を取り除き、SoCはAIやその他のタスクに集中できるようになります。さらに、このセンサは動き補正機能も備えており、高速で移動する物体を正確に捉えます。

 


図1. ハイダイナミックレンジを組み込んだオンセミのAR0822

 

遠距離アプリケーション向けの高解像度と正確なオブジェクト配置機能を備えたラージフォーマットイメージセンサ

固定ロボットは時には、物体を配置する場所に関する情報が記載されたラベルを読み取る必要があります。センサとラベルの距離はアプリケーションによって異なる場合があるため、ラージフォーマット画像を生成できる高解像度センサが必要になります。オンセミの8MP~45MP高解像度センサは、この目的に最適であり、ロボットがラベルを読み取り、対象物を目的の場所に正確に配置することを可能にします。

 

オンセミはセンサのノウハウと開発ツールを統合

AMRと固定ロボットはスマートファクトリーでさまざまなタスクを実行するため、特定の自動化タスクに最適化されたイメージセンサを選択することが不可欠です。ナビゲーションやバーコード読み取りに必要な優れたグローバルシャッターセンサ、長距離や精密な物体配置に必要な高解像度センサ、非決定的な混在照明環境での撮像を可能にするHDRセンサなど、オンセミはAMRや固定ロボットにアプリケーションに最適なレベルの視覚を与えるイメージセンサを提供しています。

 

「スマート倉庫における工場フロア用AI/ML搭載イメージセンサの重要性」に関するスティーブ・ハリスのセッションはこちらでご覧ください。